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ドラえもんの最終回は最終回じゃないのだよワトソン君 

藤子・F・不二雄さんの人気漫画「ドラえもん」の最終話を勝手につくって漫画化し、販売した男性(37)が、出版元の小学館(東京都千代田区)と著作権を持つ藤子プロに謝罪し、売上金の一部を支払っていたことが29日、分かった。


とりあえず、ここで問題になっているのは著作権の問題です。
ドラえもん著作権は藤子プロが所有しているので、こうした二次創作物は著作権侵害になります。

著作権は基本的に作者の死後50年間を保護期間として認めています。
だから仮に私が葛飾北斎の浮世絵をまんまパクって何かを創作したとしても、そしてそれがハリーポッター級の全世界的ヒットになっても、葛飾北斎が死んでから50年以上経過しているので誰からも訴えられる心配はありません。

ただし某ネズミーランドや今回の藤子プロのように、作品を作者個人の著作物ではなく、団体の著作物とすることで著作権を永続化させている場合もあるようです。

重要なのは、著作権侵害は親告罪で著作権者が訴えなければ犯罪として認められないということです。これはかなりキーポイントです。
どういうことかというと、著作権を持っている人・団体がそのパクリ作品を発見して訴えなければ、明らかにパクリであろうがなんだろうが逮捕とかは出来ないということです。
今回の場合、ドラえもんの著作権を持つ藤子プロは、田嶋安恵さんの描いた最終回マンガを訴えていません。その代わりに田嶋氏は自主的に謝罪し、売上金の一部を支払ったのです。

著作権侵害というのは著作権を保有する本人・団体が訴えなければ、その二次創作の作者が罪に問われることはありません。
例えば『新世紀エヴァンゲリオン』などはむしろそうした二次創作を推奨するかのような方向性を持っていたし、実際に作られた膨大な二次創作を訴えたという話も聞きません。
こうした予め二次創作を見越している作品があったりもするのです。

藤子プロはどうしてちゃんと田嶋氏を訴えないの?と思う人がいるかも知れません。
正確なことはわからないので憶測に過ぎませんが、藤子プロがコミケや同人誌、その他のメディアで行われる二次創作に対してある程度の受容性を持っていたのではないかと思っています。というかそう思いたいのでそう思ってます。

今回の件も発端は、

この同人誌について、ドラえもんの版権を持つ小学館はこの同人誌の反響の多さに対し厳しく対処するために、2006年に田嶋安恵側に販売中止と回収、ネット公表の中止を要請し、刑事告訴も視野に入れていると産経新聞により報道された。
(Wikipediaドラえもん最終回より)


とのことなので、藤子プロではなく小学館が騒いでたということにさせてください…。てか版権っていうのは著作権とは別なのですね。もうよくわかりません。

とにかく、はっきり言ってこの程度のことで著作権侵害だどうのこうの言うのは時代遅れだと私は思っています。私の大好きな藤子・F・不二雄先生は『藤子・F・不二雄のまんが技法』の中でこうおっしゃっています。

「まんがをかく」という作業は、情報やアイディアをいろいろと取り入れてはき出すということのくりかえしといってよいでしょう。つまり、この世の中に、純粋の創作というものはありえないのです。
けっきょく、まんがをかくということは、一言でいえば「再生産」ということになります。


純粋の創作というのは、真っ白の状態から何かが急に生まれてくる状態と言い換えていいと思いますが、そんなことはありえないんです。
極端な話、マンガという表現方法自体が誰かの発明品なのでその手法をなぞっている時点で~とか、日本語自体が誰かの発明品で~とか、物語に始まりと終わりがあること自体が誰かの発明品で~とか…こんなこと言ったらあらゆる作品が著作権侵害に…なんないけど。

さらに今「著作権法の非親告罪化」という話題もあって、こちらも凄いことになりそうです。今まで親告罪だった著作権法を非親告罪にする、つまり作者が訴えなくても二次創作だと思われるものはどんどん勝手に警察が逮捕することができるということです。
そうなれば二次創作の同人誌なんて即逮捕の可能性もあるし、下手すれば音楽のサンプリングとかもアウトかもしれません。
こんな世の中になってしまったら、果たしてオレンジレンジは生き残れるでしょうか。(反語)

ただ私はマンガ家でもないし、同人誌を読んだりもしていないので、そういう意味では正直どうでもいいや的な部分があります。受け手として、今回のドラえもん最終回のような個人的に素晴らしいと思える作品に出会える機会が減るのは残念だなーくらいにしか思えなかったりもします。

なので別の観点から、こうした事態に反論したいと思います。
げんしけん』というマンガの中ではオタクコミュニティが主題に描かれています。その中でコミケに自分のマンガ同人誌(もちろん元ネタがある二次創作)を出品するために、そのコミュニティの人々がマンガを描き上げていく様子が描かれています。

マンガ雑誌、同人誌を作るというのは一人では出来ません。
編集者がいたり描く人がいたり、ストーリーを考える人が別にいたり、もしかしたら背景だけ描く人とかもいたりして、実は結構な数の人と関わらないと同人誌として仕上げることは出来ません。
げんしけんでは、こうした作業を通じてケンカをしたり、友情を深め合ったり、お互いを理解したり(こうして書くと少年漫画みたい)いく過程を描いています。
そこはある種のアイデンティティを確立したり、承認し合ったりする場として機能しています。

仮に同人誌が全てアウトになってしまった場合、そうした手段でコミュニケーションをすること自体が不可能になってしまいます。
どうせ潰すなら暴走族とかそういうコミュニティ潰してください、なんてことは言わないですけど、コミュニケーションの場として同人誌の制作現場や販売会場・それ周辺のネットワークをみれば、非親告罪化を考え直そうっていう気になりますよね。ならないですか…。

著作権の非親告罪化に関しては竹熊健太郎氏のこちらのブログの記事がわかりやすくてオススメです。漫画に関わる方からのこういう発言は心強いですね。
【著作権】とんでもない法案が審議されている

ドラえもん」最終話、勝手に作る=出版の37歳男性が謝罪
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070529-00000178-jij-soci

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コメント

確かに、版権を所有している小学館にはこの男性を訴える(訴えてはいませんが)権利があると思いますが、作者の方が何も言っていないのに、小学館だけが騒いでいるっていうのはどうなんでしょか?
「大人げなくね?」では・・・

はじめまして

はじめまして。通りすがりにコメント落としてすいません。「パロディ」と著作権法との関係について以前から興味を持っています。法上は、出版権者は出版権の侵害に対して差し止めなどの対抗措置を取ることができます。しかし、出版権とは、「出版権者がその出版権に係る著作物を”原作のまま”印刷等によって文書等として独占排他的に複製できる」(著作権法80条より)権利なので、著作権者が有する複製権や二次的創作に係る権利とは別です。もし小学館が二次的創作に対して差し止め等の具体的な対抗措置を取れる立場だとしたら、出版権に加えて著作権をも有しているか、あるいは著作権者の替わりに対抗措置を取っていることになると思います。以上、ご参考まで。

DAIV.Dさん
「小学」館なので、確かに大人げないというか大人じゃない部分はあるかもしれませんね。
どこまで二次創作を認めるかというのはなかなか難しいと思いますし、小学館も苦労した末の判断だとは思います。個人的には中国のディズニーパクリランドにいたドラえもんもどきに対してどういう対策を取っているのかが気になります。

>1031さん
ご教示ありがとうございます。
となると今回のように小学館が出版権を背景にして刑事告訴どうこう…というのは元々できなかったのかもしれませんね。1031さんのおっしゃるように、藤子プロの代理としての対抗措置だったのかもしれません。
何にせよ今回の件では「出版権のみ」で対応することは出来ないということですね。

蛇足

>小学館が出版権を背景にして刑事告訴
著作権侵害であって出版権侵害ではないときに、出版権者には告訴権があるかないか→すいません、わかりません。
しかし、犯罪に対して告訴できる(告訴権を有している)のは、「被害者」です。上記の場合、権利侵害されているのは著作権者であって出版権者ではないので、出版権者には被害がない、つまり出版権者は被害者ではない、と考えられます(私見です)。
したがって、出版権者は告訴できないと思います。
なお、”ドラえもんの最終回”の絵(たとえ一つのキャラでも)が、小学館が出版権を有する原作の複製である(つまり、各キャラの外見、キャラの配置が具体的な原作の絵とほぼ同じ)と認められた場合には、出版権の侵害になり得ます。ひょっとしたら、こちらの方に該当するかもしれないですね。

なるほど、勉強になります。
>(つまり、各キャラの外見、キャラの配置が具体的な原作の絵とほぼ同じ)
非親告罪化された時に、警察によって上記の判断がなされるようになると表現の幅が一気に小さくなってしまうかもしれませんね。
ポパイネクタイ事件について少し調べてみましたが、キャラクターと著作権の関係は非常に難しそうですね。絵柄的なものや外見をもってキャラとするのか、性格や周りのキャラとの関わりによる人格をキャラとするのか…。

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